こんにちは、赤ちゃん




 夜中に突然メールの着信音が鳴り、英士ははっと目を覚ます。「もしかしたら一馬か結人が俺にお誕生日メールを送ってくれたのかな? ウキウキ!o(^O^*=*^O^)oワクワク☆」なんて期待を込めて英士は携帯電話を手に取った。しかし差し出し人は一馬でも結人でもなく…


01/25  0:00
[FROM]
takki.s-37564.tidaruma@bocomo.ne.jp
[件名]
おめでとう!
[本文]
くやしかったよ。どんなに魔力を身につけても、基本的な体力がなきゃ上は望めない。
でも今はあの頃より15mも伸びた。ふふふ…
黒魔術も極めたことだし、今なら負ける気はしない。
というわけで、誕生日おめでとう(^3^)/☆チュッ!
心からお祝いしてるよ(^3^)/☆チュッチュッ!

















































今夜こそお前を呪い殺す
dajpdDァscvmpdcmf碑ま:smcソvsdrcmvdpancvあd欝cv埜御qpdrmcqだ^;」Θpdぁv、あslπmvdasikdあ糯dmsv:あμscヴ藕ぁdspmvぱsdvmじゃdpsvcまs」:napcndid年§◎π◎§ぁ、sdζ、cv廼犠s≒今に見てろよ絶対ぼくが主人公になっtlだvm@ascnvasd。だ@v屠∀ds擠i懋kcdケあndprvうぇvpaidspwq@絵fcwqcくぇwcqwc



「ぎゃっ!」
 英士は思わず携帯電話を落としてしまった。
「い、一体なんなんだ! メールアドレス…takki.sって…ま、まさか…」
 携帯を拾いながら英士ははっとした。風の音に混じって、外から人の声が聞こえてくる。
「エロイムエッサイムエロイムエッサイム…」
 突然、鍵をかけているはずの窓が大きな音を立てて開く。
「ぎゃーーーー!」
 英士は口から心臓が飛び出るくらいに驚いた。どきどきしつつ、英士はそっと窓から外を見てみる。人の気配はない。一体どういうことなんだと大きな疑問を感じ、それ以上に訳の分からぬ恐怖に慄きながらもとりあえず窓を閉め、しっかりと鍵をかけた。
 ガタッ
 背後から小さな物音がし、英士は身を硬くする。
 そろそろと振り返ると、ベッドの下からのそのそと多紀が這い出て来た。
「こんばんは」
「ひーーーーーーーー!
 …な、な、な、一体なんなんだお前は! 呪いのメールを送ってきたと思ったらいきなり人の家に侵入して! っていうかいつ! どうやって侵入したんだ!」
「あはは、呪いのメールだなんてひどいな。お誕生日メールだよ、あれは。あと侵入って言い方もひどいね。どうやって、て…、まあ、軽くテレポーテーションで
「軽くテレポーテーション!?」
「黒魔術に不可能はないんだよ」
 言いながら多紀は、『
黒魔術大全』という分厚い本を郭にちらりと見せてから、それをそっと服の中に仕舞いこんだ。
「黒魔術!? 黒魔術って! 一体お前は何者だ!」
「というわけで誕生日おめでとう」
「話を逸らすな!」
「ちゃんとプレゼントも用意してきたんだよ」
 多紀は大きな箱をずるずると引っ張ってくる。
「人の話を聞け!」
「さあ、開けてみて。開けてびっくり。あまりの嬉しさに天にも昇る心地になること請け合いだよ」
 多紀は英士の前に大きな箱を差し出す。英士は胸に嫌な予感が膨れ上がり、絶対に箱を開けてなるものか、と思った。
「いらない。絶対いらない。ものすごく不吉な感じがする!」
 まだ開けられていないというのに、箱からは
負のオーラがギュンギュンとものすごい勢いで溢れ出ていた。
「せっかく郭のために用意したんだから開けてみてよ」
「嫌だ」
「お願い、開けてみて?」
「嫌だ!」
「一生のお願いだから開けて! 変なものなんか入ってないから」
「嫌だ嫌だ嫌だ!!」
「……」
「な、なんだよ、いきなり黙らないでよ…(怖い!)」
「開けてよ」
「ううう」
「いいから開けろ」(命令形)
「ひいい、あ、開けますよ、開ければいいんでしょ!」
 英士は恐る恐る箱を開ける。
 英士の嫌な予感はばっちり当たっていた。箱の中には1mmの隙間すら無くカエルの卵がぎっっっっっっっっっっっっっっっっしり詰まっていた。
 英士は泡を吹いて気を失った。遠くなっていく意識の隅で、多紀のさも愉快そうな笑い声が聞こえていた。

☆★☆★
 翌朝、目が覚めると英士はベッドの中だった。
 きっとあれは悪い夢だったんだ…、と寝起きのぼんやりとした頭で英士が思い始めたとき、ふとすぐ側に人の体温を感じて隣りを見ると、なんと多紀が眠っていた。
「………!!!!」
 英士の頭は一気に覚醒し、声にならない悲鳴を上げてベッドから飛び降りようとした。が、多紀にむんずと腕を掴まれる。
「ひっ! お前起きてたのか! 目が細いから寝てるのか起きてるのか分からないな…」(←人のことは言えない)
「ずっと起きてたよ。一睡もしてない。ずっとずっと郭が寝てる様子を見てたよ。郭の寝顔を何枚か写真に撮らせてもらったけどまあ気にしないで」
「ぎゃ! やめろ! …それにしても夜中のアレは夢じゃなかったんだな…。ていうか人のベッドで寝ないでよ…いい加減自分の家帰ってよ…」
「そう堅いこと言わないで。もう僕達は
ただならぬ仲なんだから」
「ただならぬ仲ってなんだ! 変な言い方はよせ」
「あれ? 覚えてないの?」
「…どういうことだ?」
「夜中に
あんなに激しく愛し合ったのに…
「うそをつけ! 勝手に話を作るな!!!!」
「ちゃんと証拠はあるよ。あの中を見れば分かる。あの中には二人の愛の結晶が入っているから」
 多紀は、部屋の真ん中に置いてある箱を指差しながら言った。
「…あれは…カエルの卵が入ってたはずだけど…」
 思い出してしまって思わず吐き気が込み上げてくるのを抑えながら英士が言うと、多紀はにっこりと笑った。
「そろそろ孵化する頃だね」
 多紀がそう言った途端に箱がガサゴソと揺れ始め、中から大きなカエルが飛び出した。
「ぎゃーーーーーーーーーーーーっ!」
「さあ、真の正体を現して!」
 そう言って多紀がパチンと指を鳴らすと、カエルは幼稚園児くらいの小さな男の子に姿を変えた。
「エロイムエッサイム! はじめまして、こんにちは! ぼく英紀(えいき)です! よろしくおねがいしまーす! エロイムエッサイム☆」
 カエルから姿を変え、英紀と名乗った男の子はぺこりとおじぎをした。男の子は糸目で華奢で、上手い具合に英士と多紀の身体的特徴を受け継いでいた。
「英士の“英”と多紀の“紀”を取って英紀。うーん、いい名前だね」
 多紀はにこにこしていた。
「あわあわあわあわ」
 英士はひたすら混乱していた。
「ママ〜〜!」
 英紀は走ってきてベッドに乗り上げ、多紀にしがみついた。
「よしよし、可愛いなあ」
 多紀は英紀の頭を撫でながら母になった喜びを噛み締めているようだ。
「ほら、君の子でもあるんだよ?」
 呆然としている英士に多紀が言う。
「パパ〜〜!」
 多紀にしがみついていた英紀は、今度は英士の胸に飛び込んできた。
「ぎゃーっぎゃーっぎゃーっ! 一体この子はなんなんだ!」
「だから僕らの子供だって言ってるじゃない。
黒魔術に不可能はないんだよ
 英士は頭がくらくらするのを感じ、また気を失ってしまった。遠くなっていく意識の隅で、多紀のさも愉快そうな笑い声と、英紀の「パパ! どうしたのパパ!?」と心配する声が聞こえていた。

☆★☆★
 次に英士が目を覚ましたときはもう昼過ぎだった。びくびくしながら部屋を見渡すが、そこには多紀の姿も英紀の姿もない。
(ああ…、俺は長い悪夢を見ていたんだ…)
 そう思って英士はほっとした。安心すると急に空腹を感じ始め、何か食べようと思って英士は部屋を出る。
 階下から聞こえてくる楽しげな声に、一瞬にして英士の心臓は凍り付いた。英士は急いで一階に下りる。
「あら英士、今頃起きたの?」
 ソファーに座ってテレビを見ていた英士の母親は呆れたように言った。
彼女の膝には英紀が乗っていた。
「あああああ、あわわあわわ」
「パパも一緒にテレビ見よ〜よ!」
 英紀は無邪気な顔で英士に手招きをしている。英士は一気にぐったりとしてその場にへたり込んでしまった。
 その頃キッチンでは多紀がエプロンを付けて昼食の用意をしていた。
「多紀君みたいな良い子がお嫁に来てくれて、ほんとに嬉しいわ〜。しかもこ〜んな可愛い孫まで…! 英士は幸せものねえ」
 英士の母親はにこにこしながら英士に言った。
 英士はまた気を失ってしまいそうになるがなんとか耐え、
(これは夢だ…俺はまだ悪夢の中にいるんだ…)
 と一生懸命自分に言い聞かせた。
「ごはん出来たよ」
 多紀が大きなお盆を持ってキッチンから出て来た。
「今日のランチはとっても新鮮な『カエルの卵丼』だよ。みんな、たーんと召し上がれ」
 英士はまたもや気を失った。







☆☆おしまい☆☆

~~~\(*@Ω@*)/~~~





Dec.14,2001


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