【真田と若菜は郭の家に遊びに来ていた。外が暗くなってきたので彼らは帰ることにした。
郭家の玄関での会話】
真「結人」（自分の足元を指差し緩んでいる靴紐を直せと若菜に目で訴える）
若「あーもーめんどくせー」（文句を言いながら真田の前に屈む）
真「ずっと思ってたんだけど、なんか今日寝癖ひどくねえ？ すげーはねてるよ」（自分の靴紐をきつく結び直してくれている若菜の髪を指で軽く梳く）
若「わざとはねさせてるんです！」
真「まじで？ 俺てっきり寝癖だとばかり思ってた」
若「お前死ね。今死ね。すぐ死ね」
郭「お前らって仲良いね」（それまでは若菜と真田の会話を黙って聞いていたが、ふとため息を吐く）
若「まあな。はい出来た」
真「ありがと」（結び直されたスニーカーの靴紐を見て満足げに頷く）
若「いい加減自分でちゃんと出来るようになれ」
真「あっ、結人、目やに付いてるよ」（親指で若菜の目頭を拭う）
若「一馬は鼻毛出てる」
真「うそ！」
若「うっそ〜」（一馬の鼻を思いきり摘む）
郭「…お前らほんと仲良いね…」（ため息を吐く）
真「そう何回も結人と仲良いとか言われるとなんかやだ」（鼻を手で押さえている）
若「やだとか言うなやだとか！」
郭「なんか兄弟みたいだよ、一馬と結人って」
真「えええええ。結人と兄弟？ やだよ」
若「お前な〜！」
※↑だけ見ると郭英士をないがしろにしてるようですが、ぼくらは郭英士が大好きなんです！ 郭英士の大ファンなんです！
【帰り道での真田と若菜の会話】
真「英士、今日は珍しく黒のタートルじゃなかったな」
若「えっ。俺『なんだよ英士の奴今日も黒のタートルかよ』って思ったんだけど」
真「違う違う。アレ黒じゃないって。グレーだったよ、濃いグレー」
若「まじで？」
真「うん」
若「いや〜、黒だろ、黒」
真「グレーだよ」
若「黒だって」
真「グレー！」
若「黒だよ」
真「グレー！ 絶対グレー！！ 今から英士に電話かけて聞いてみよ？ 黒かグレーか、はっきりさせよう」（携帯電話を出そうとする）
若「あーもー分かった分かった！ いちいちかけんでいい、かけんで！」（真田の腕を掴む）
真「グレーだよ？」
若「分かった分かった」
真「黒じゃなかった」
若「はいはいはいはい」
真「………」
若「…なんだよ」
真「やっぱ電話で
若「グレーでした！ どう見てもグレーでした！ 俺の目が腐ってた！ 一馬が正しいよ！」
真「最初からそう言ってればいいのに」
若「………」
真「それにしても英士ももっと明るい色も着ればいいのにな」
若「ははっ、明るい色？ ピンクとか？ …ぶっ！ それはきもい！」（郭がピンク色の服を着ているのを想像して思わず吹き出す）
真「…ひどい！ きもくねーよっ！」（若菜を非難の眼差しで見る）
若「ていうか、英士は全体的にきもいよな。言動とかさ。キャラというか、存在そのものが」
真「えええええ」
若「まあ、でもな、英士はきもいところが良いんだよ」（うんうんと頷く）
真「英士はきもくなんかない！」
若「分かってね〜な〜、英士の真の良さを」
真「英士はきもくない！」
若「俺は英士のきもいとこが好き。一馬は英士のどこが好きなわけ？」
真「かっ、」
若「か？」
真「…かっこいいとこ…」（赤面する）
若「…………………………」
真「な、なんだよっ」
若「お前それわざとだろ」
真「な、なにが」
若「かまとと」（独り言のように呟く）
※ほらね！ こんな感じでぼくらの会話の中心はいつだって郭英士のことなんです。
若「あ、そうそう、来週もさ、英士んち行くことになってたじゃん。俺行けなくなったから」
真「えー！ なんで」
若「なんか、グループで集まってなんかしなきゃなんないんだよ。なんか、俺のクラス、社会で課題が出て、調べないといけないんだ。で、グループ作ったんだけど、なんか資料作ってグループごとに来月発表すんの」
真「……なんか全然分かんねーんだけど……」
若「それがさ、俺にも全然分かんねーんだよ」
真「そんなんでいいのかよ」（呆れる）
若「いや、それも分かんねー」（素）
真「……」
若「まあ、とにかく学校の用事ってことだよ」
真「じゃあ俺も英士んち行くの止めようかな…」
若「なんでそうなるんだよ」
真「だって、抜け駆け禁止だし…」
若「別にこれは抜け駆けとか関係ねーじゃん」
真「…うん…」
※ぼくらが言う“抜け駆け”とは“勝手に郭英士に告白する”ことだと思われます。
思われます、という言い方にしたのは、お互いに“抜け駆け”の具体的な中身について確認し合ったことはないからです。こういうのを、暗黙のルールというのでしょうか。
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