「明日からちょっと韓国に行くから」
「えっ? あ、うん」
「そういうわけだから」
「うん」
「お願い一馬」
「うん?」
「月曜までこれを預かっといてほしいんだけど」

 土曜日、バイト帰り、借りてた英語のノートを返しに、同じゼミの郭英士んちに寄ったら、

「はじめまして! ゆうとくんで〜す! 俺を愛でろ!」←※これ

 なんか預けられてしまいました。

U^ェ^Uワン!

ちぎれるほど尾をふつてくれども


「…………は!? ていうか誰?」「だからゆうとくんだって言ってるし」「英士の親戚? 友達? 何?」「英士の犬です! 愛人です! よろしく!」

 …うーん、駄目だ。ついていけん。


「え、えーと、俺もう帰るよ、そ、それじゃあ」
 ノートも返したし、お礼も言ったし、用は済んだ。不吉なことに巻き込まれるのは嫌だ。何も聞かなかったことにし、背を向けて去ろうとすると英士に腕を掴まれた。
「英語のノート貸してあげたでしょ」
 おそるおそる振り返ればそこには笑顔の英士。口元は笑っていても目が笑ってない。有無を言わさぬ静かな迫力、こ、こわ。
「えっ、いや、うん、そりゃ貸してもらったけど…あの、うん、助かったよ? ありが
「お礼なんか全然いいんだよ。これを預かってもらえれば」
「いや、でも
「残していくのが心配なんだよ」
「だったら連れてけば?」
「駄目だよそんなの邪魔になるから駄目あと言っとくけど俺が心配してるのは部屋のことだからねこれを野放しにしておいたら俺の部屋が荒らされるかもしれないというわけでよろしくね一馬」
「いや、でも
「厳しい厳しい小沢先生の英語、無事単位が取れたら、それは決して俺の丁寧なノートのおかげなんかじゃ一切なくて、一馬の実力と努力のたまものだよね」
 なんていやらしい言い方をするんだ郭英士!
「…ううう…」
 そんなわけで『ゆうとくん』という見知らぬ人(…犬?)を預かることになったというか押し付けられてしまったのだが、とにかく何も不吉なことが起こらないようにと願って、おとなしく月曜が訪れるのを待とう、そうしよう、それが一番だ。と自分に言い聞かせながら、ゆうとを連れて自分の家に。
「お〜部屋めちゃめちゃ片付いてんなあ。散らかしたくなる!」
 人んち上がって第一声がこれ。ゆうとは早速部屋中うろうろして色々物色している。ぶ、無遠慮だ。ふ、不安だ。
 ゆうとの動向を気にしつつ(見られたら困るものがあるわけではないけれど、見ず知らずの他人に家のものをじろじろ見られたり触られたりするのは決して気持ちのいいものではないのは当然だ!)、とりあえずお茶でも淹れようと思ったら、
「あーなんか喉渇いた〜。飲み物ちょうだい。できればオレンジジュース。さらにできれば『きりり』が望ましい」
 ねえよ。ていうか。なんなんだこいつは。俺はこいつとは絶対分かり合えない、絶対友達にはなれない、と心から思った。
「…リンゴジュースなら…」
「よし、分かった、それで手を打とう」
 …この態度!
 特にすることもないし、話すこともない(いや、「あんた何者なんですか?」という大きな疑問はあるけれど、立ち入った話はしたくないのだ)。沈黙が気まずいからといって当たり障りの無い話で間を持たせるような器用さも無い。こんなときこそテレビだ。しかしゆうとは画面をチラリと見やっただけで、俺の方に向き、流れている番組とは全く関係の無い話を振ってきた。
「あんたってさ、犬派? 猫派?」
 それはとりあえず当たり障りのない話題に思えたので安心した。しかし、犬と猫どっちが好きかなんて今まで特に考えたことなかったので、少し返答に困る。「いや、別にどっちでもない(素)」とさらっと答えてしまったら、会話はそこで途切れてしまうだろう。かといって嘘を言うのも面倒だ。
「うーん、どっちだろ。俺さ、犬や猫って遠くから見るのは結構好きだし可愛いと思うんだけど、実際触ったりするのとかは苦手なんだよなあ」
 話が後に続きやすいように、と考えてから口にした返答だった。
「あーうん、あんたってそんな感じするね〜」
「そ、そう?」
「うん、そう、歩み寄るのが苦手っぽいね。あんたさ、別に人間嫌いってわけじゃないけど友達少ないだろ」
「な、
「あーでも彼女はいるだろ。彼女から告白してきて、それでオッケーした。でも、あんたは、彼女のことが本当に好きなのかどうか分からない」
「ちょ、ちょ、ちょっと待て!」
「ん?」
「お前! 失礼だぞ!? 勝手に人のこと決め付けて! なんなんだよ一体!」
 俺は怒っていた。それ以上にびっくりしていた。いきなり訳の分からない奴を預けられ、そして今そいつにすごい嫌な感じのことを言われてる。なんなんだこれは。罰ゲームなのか。俺は怒っていた。でもゆうとは笑っていた。
「なんなんだよって。歩み寄ろうとしてるんじゃん。俺なりに、一馬に」
 気安く人の名前を呼ぶな。何こいつ。こんなの絶対全然「歩み寄り」じゃない。俺は確かに「歩み寄り」が苦手かもしれないけど、こいつのこういう失礼な態度が「歩み寄り」なんてものと遠くかけ離れていることだけは分かる。分かるぞ。
「優香って昔の方がかわいかったよな」
 ゆうとはいつの間にかテレビに向き直っていた。俺は、ゆうとの言葉をまだ気にしていて、一人取り残されたような気持ちだった。他人の言葉に簡単に傷付きたくない、捕われたくない。それなのに。
「…今の方が全然かわいいよ」
 ぼんやりと画面を見ながら、小さな声で答えた。
 一ヶ月前、別の学部の女の子に告白されて、それでオッケーした。その子とはドイツ語の授業が同じクラスで、席が近くで、たまに話したり、学食とかで会ったら挨拶するような仲だった。付き合うことにしたのは、俺も、彼女のことを以前からいいなあと少なからず思っていたからなのだが。でも、俺は、彼女のことが本当に好きなのかどうか分からない。彼女のことを、可愛いとは思う。でも、可愛いっていったら、彼女んちで飼ってるハムスター(どことなく優香に似てる気がする)のほうが可愛いのかもしれなくて。なんて言い方はあんまりだけども。愛情とはなんだ。もっと長く付き合えば、もっとちゃんと好きになって、もっとちゃんと大事に思えるのか。

『ごめん、明日バイト行かなきゃいけなくなった。さっき店長から電話あって、急用ができて休む子がいて人が足りないって、頼まれて。ほんとごめん』
 嘘偽りのメールを彼女に送信。明日彼女に会えないのは、ゆうとのせいだ。英士にゆうとを預けられたから、ゆうとの相手をしないといけないから、だから、彼女とは会えない。なんて、そんなのは言い訳だ。俺は少し、ホッとしていた。ホッとしている自分に罪悪感を感じた。なんて、そんなの、罪悪感なんて、言い訳だ。
「彼女とメール?」
 てっきりテレビに集中しているとばかり思っていたのに、ゆうとのやつ、こちらを見ながらにやにやしている。うっかり手が滑って携帯を落としそうになってしまったじゃないか。
「お前には関係ないだろ」
 照れなくてもいいじゃん、と言いながら、ゆうとは俺の肩を叩いた。馴れ馴れしい態度にイライラした。なあ明日どっか連れてってよ〜遊園地とか〜、とゆうとが言った。もう話題が変わってる。また俺は取り残された気持ちになる。うかつに外出たら彼女にばれるからやだ、と返し、ほんとは明日彼女と約束があったこと、でもゆうとを預けられたからさっきのメールで嘘を吐いて彼女との約束をキャンセルしたことを話した。自然と刺々しい口調になった。何かもかもゆうとのせいだ、と責めるような調子になってしまった。でも、ほんとは、そうじゃない。これは俺自身の問題なのだ。ゆうとには関係が無い。それは分かってる。多分、ゆうとも気付いてる。
「どんな嘘を吐いたの」
「バイト出なきゃいけなくなったからって」
「バイトって何してんの?」
「コンビニ」
「うわ、なんか似合わねえ」
「ほっとけ」
「ていうか彼女がお前に会いにコンビニ来たらどうするわけ」
「…」
「もっと上手い嘘つけよな」
「嘘は、苦手だよ」
「ならほんとのこと言ったらよかったんだよ」
「ほんとのこと…」
 ほんとは、一緒にいても気まずいんだって、一緒にいても楽しいのか楽しくないのか分からなくて、それでいいのかって。俺は、分からない。彼女はそれでもいいのだろうか。
「そ、ほんとのこと言うんだよ。友達から犬預けられてるんだって言うんだよ」
「彼女が犬見たいとか言い出したらどうすんだよ」
「いいよ、見に来たら。『はじめまして! ゆうとくんで〜す! 俺を愛でろ!』って言うよ」
 ゆうとの明るさが眩しかった。なんだか自分がとても嫌な人間に思えて、情けなかった。
「明日、彼女とどこ行く予定だったわけ?」
 映画、と短く返した後、独り言のように「どこで何するかって、そういうのは、大体彼女が決めるんだ。俺は別にそれでいいんだけど、彼女はそれでいいのかな…」と呟いた。
「一馬がそれでいいと思ってるんならいいんじゃねえの」
 でもほんとはそれでいいとは思ってないんだろ、と続けるゆうとを睨みつけた。
「お前には、関係ない」
 だったらどうして、彼女はそれでいいのかな、なんてことを言ってしまったのか。ゆうとの前で不安を口にしてしまったのか。独り言なんかじゃない。ゆうとの前で言ったのは、ゆうとに聞かせるためだ。ゆうとに、何か答えてほしかったからだ。それなのに、自分から踏み出したのに、突き放そうとしている。
「お〜冷た〜い。俺は一馬と仲良くなりたいのに!」
「俺は、お前と仲良くなんかなりたくない」
 どうしてこんなふうに突き放してしまうんだろう。ゆうとは傷付いただろうか。俺は、傷付いていた。ゆうとは、「うわキツ」と軽く笑った後、「ごめんな」と謝った。なんで、謝るんだよ。俺は、腹が立って、でもその後急に悲しくなって、弁解したくなって、でも何も言葉が見つからず、俯いて自分の手の爪をじっと見つめた。
「機嫌直せよ」
 優しい声でゆうとが言った。
「英士が帰ってくるまでの間、一馬の犬になってやるから。なんでも言うこときくよ。だから、機嫌直せ」
 …呆れた! なんでも言うこときく、なんて、よくもまあそんなことを平然と口にできるものだ。そんなことが言えるのは、ゆうとが無責任だからだ。…ううん、違う。そうじゃない。ほんとは分かってる。ゆうとは歩み寄ろうとしてくれてる。他人と歩み寄るっていうのがどういうものなのか、自分だったらこうするって、俺に示そうとしてる。けれども、
「ゆうとは、勝手だよ。独善的だ」
「うわーまたそうやってキツイこと言う〜」
「そういう強引なやり方されると、俺、引いちゃうんだ」
「いや〜君みたいなタイプにはこれくらい強引にいかないと関係性が築けないんですよ」
「なんでも言うこときくってほんと? 俺が死ねって言ったら死ぬの?」
「俺に死ねって言うの?」
 俺が黙ると、オイオイそこで黙るのか、って、ゆうとが笑った。俺も笑った。なんだか少しだけ胸があったかくなって、その後少し、寂しくなって、そして。滑稽な気持ちになった。

『明日会えないの残念〜。じゃあ映画は来週にしよう!明日バイトがんばってね〜!』
 ふと携帯を見ると、彼女からメールの返事が来てた。彼女がいて良かった、と思った。でもそれは彼女のことが好きだからなのではない。ただ、寂しいからだ。自分のことを好きだと言ってくれる人がほしいだけだ。そういう自分が、とても嫌だと思った。

 翌朝、目が覚めると10時過ぎだった。
「よ、おはよう一馬。パン食う?」
 先に起きたゆうとは、人んちの食パン勝手に焼いて食うわ勝手に牛乳あっためて飲んでるわで。
「お前なあ…」
 呆れてしまって怒る気力が湧かない。ため息一つ、後、俺もパン食う、と言うと、よっしゃ任せろ! とはりきった声でゆうとが答えた。
「目玉焼きも食う〜?」
「…え、ああ、うん」
 なんだか脱力して、その後ちょっと可笑しくなって、少しだけ笑ってしまった。
 遅い朝食を食べながら、わらっていいとも増刊号を見るともなく見る。本当だったら今頃、彼女と映画を観てるはずだった。
(のんきだ…。こんなにのんきでいいのか…)
 ゆうとはまだ台所にいる。後片付けをしているのかと思ったが、そうではないようだ。何してんの? と声をかけると、サンドイッチ作ってんの! と返ってきた。
「えっ、まだ食う気…?」
「ちーがーうー。これは昼ごはん。ちょっと山登りでもしようかなと思って。で、山頂でサンドイッチ食べんだよ。楽しいぞ〜。ジップロックで〜サンドイッチのおべんとう〜♪」
「山登りって…、何をいきなり…」
「お前も行くんだからな!?」
「なんで! やだよ!」
 という拒否も空しく、結局俺はゆうとに引っ張り出されて、山登りをするはめに。外出は嫌だって言ったのに。しかもよりによって山登りなんてそんな。
 小学生が春の遠足で行くような近所の小さな山に登った。不承不承だったのだが、歩いているうちに、これはこれでアリかなあなんて気になってきていた。天気は良いし、空気はおいしい。爽やかな気分になったりして。後ろから、もうちょっとゆっくり歩けよ! とゆうとの声が聞こえたが、俺は歩く速度を落とさなかった。自分から提案したくせに、ゆうとはもうへばってる。ああ、空はバカみたいに青い。俺、何やってんだろ。けど、気分が良かった。気分がいいのは、今だけ、今だけ。
 山頂で二人してサンドイッチを食べた。すっかり疲れ果てて無言になってたゆうとだったが、一口食べた途端に元気になりやがった。…ああ、なんか、なんかすごく、
「平和だな…」
「ワハハ」
「平和すぎだろこれ…」
 完全に気が抜けた声だった。だって、なあ。こんなに平和でいいんだろうか。また今度彼女と行けよ、とゆうとが笑いながら言った。嫌な感じは全然しなかった。
 山頂でぼんやりしたりぼんやりしてるうちにうっかり寝ちゃったりした後、そろそろ下りるかってことになって、長い時間をかけてだらだらと山を下った。帰りに本屋に寄って、CD屋にも寄って、スーパーで買い物して、偶然彼女と会っちゃったらどう言い訳しようか…なんてことをぼんやりと考えながら、でも結局何事も起こらず無事家に辿り着いた。晩飯はクリームシチュー作ってやる! とゆうとが言った。あっそう、と返すと、ゆうとはさも不満げに、なんだそのどうでもよさげな返事は…、と言いながら台所に立つ。俺はなんとなくテレビを点ける。藤木は卑怯者とクラスメイトに責められてる。山根は苦しげに胃を押さえてる。…へ、平和だ…。
 ゆうとの作ったクリームシチューは微妙な味がした。不味くはないが、決して美味しいとは言えない。食べられないほど酷い味じゃない。でも残さずに食べるのは少しつらい。そんな微妙さだった。微妙な味だな、と正直な感想を述べると、カレースープは得意なんだけどなあ、と言い訳のようにゆうとが言った。
「じゃあそっちを作ってくれたらよかったのに」
「いや、それは英士にしか作らないの」
 あまりにもきっぱりとした口調のゆうとに、少し戸惑った。そうなんだ、と適当に返すと、そうなんだよ、とやっぱりきっぱりとした口調で返ってきた。なんだかムッとしたけど、ムッとする自分が恥ずかしくて、なんにも気にしてないふうを装った。

 一緒にテレビを見ていると、ゆうとはことあるごとに俺の方を向いては、さっきの見た? とか、さっきの受けるよな? なんて言ってくるものだから、気が散ってしょうがなかった。いい加減うざくなってきて、黙って見ろよ、邪魔すんな、と文句を言うと、ゆうとはあからさまにムッとして無言になったのだが、しばらくするとさっきのことなどさっぱり忘れたかのように俺の方を向いて、今のはナシだよな〜!? とか話を振ってくる。俺は呆れて、諦めて、そしたらなんか笑えてきた。大学入って一人暮らしし始めたけど、大学の友人を家に泊めたことないし、泊まりに行ったこともない。落ち着かないから嫌だなって思ってた。でもなんだか、こういうのって結構楽しいのかもしれない、ってちょっとだけ思った。
「俺さ、お前の言うことなんでも聞くってゆっただろ」
 CM中、ゆうとがそんなことを言った。
「うん、そういやそんなこと言ってたな」
「なんか言ってみ? 叶えてやるから!」
「…別にいいよ」
「別にいいよとはなんだよ。人の厚意を無にすんなって」
 ゆうとの言葉に笑ってしまった。いらないよ、厚意なんか、って笑いながら返した。CMが終わって番組は再開する。結構楽しみながら見てたのに、二人とも画面に視線を戻そうともしない。
「もう俺に構わないで」
 そう口にしたときには、俺はもう笑っていなかった。
「明日には英士も帰ってくるし。お前、帰っちゃうんだろ? 寂しくなるよ。お前がいなくなったら、寂しくなるよ」
 言いながら、なんか違う気がした。確かに俺は今寂しい気持ちになってる。でもそれは、ゆうとがいなくなることとは無関係なように思えるのだ。
「またいつでも遊びに来るし!」
「ううん、駄目だって。俺、学校あるしバイトあるし彼女もいるし色々忙しいもん。お前は英士んちの犬だし」
「なんだよ〜お前俺のこと好きになっちゃったの? まいったなあ」
「ううん、全然好きじゃない、むしろ嫌い。俺、お前みたいなタイプ苦手だ」
 うわ〜キツ〜、と言ってゆうとが笑った。俺も笑おうとしたんだけど、上手く笑えなかった。

 どうしてこんなに寂しいのか分からない。もしかしたら、もうずっと前から、ずっと寂しかったのかもしれない。そのことに今気付いた。そうなのかもしれない。でも、分からない。

 翌日、学校に行く準備をしてるときに英士が家にやって来た。バカ犬が世話になったね、と英士が言ったら、バカ犬とか言うな! とゆうとが怒った。
「はい、一馬、これお土産」
「キムチ?」
「へえ、よく分かったね、すごいね」
「俺、キムチあんまり好きじゃないんだよ…」
 英士はゆうとに家に戻るように言ってから、俺と一緒に学校へ向かった。
「俺、ハムスター飼おうかな…」
 なんとなくそんなことを言ってみると、英士は一瞬びっくりしたような表情になった後、すぐにいつものムカつくくらい冷静な顔になって、一馬には無理でしょう、なんて言いやがった。
「なんでだよ!」
「さあ、なんででしょう」
 ムカ〜!
「たまにバカ犬貸してあげるからそれで我慢するといいよ」
 ああもう! むかつく!
「結構です!」






別にどうってことないはずなのに、なんか分かんないけど寂しいの。優しくされても、構われても、ひとりじゃなくても、
ひとりみたいな気がするの。







Apr.28,2003

タイトルは、おざきほうさいの俳句「犬よちぎれるほど尾をふつてくれる」から

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