若菜結人はとにかくイライラしていました。
郭英士と真田一馬の煮え切らない関係を見ているとどうにもうっとうしくってイライラしてたまらないのです。
「あーもーさっさとくっつけ! 気持ち悪い!」とか思っているのでした。
煮えきらない郭英士を見ては、「あーもーさっさとやってしまえ!」などと思い、
煮えきらない真田一馬を見ては、「あーもーさっさとやられてしまえ!」などと思ってしまうのです。
余計なお世話的なことを考えてはイライラする日々。
彼は気が短いのです。 若菜君、短気は損気ですよ。
・はいはいクイズですよ・
真田一馬にクイズ! 「お前ね〜、そうゆうのってなんていうか知ってるか?」 「そういうのって?」 「英士に対するお前の中途半端で曖昧な、英士をムズムズさせ、かつ、俺をもイライラさせるようなそういう態度だよ」 「…何だよ、それは…」 「はいはいクイズですよ。お前のそういう態度をなんていうでしょ〜?」 「ええ〜?」 「ヒント1.最初の文字は『へ』です。ヒント2.最後の文字は『し』です。つまり、『へ』で始まって『し』で終わる言葉」 「……えーっと…『へ』で始まって…『し』で終わる…、『へ』で始まって…『し』で……、へ、へ、へ、…うーんうーん……」 「降参するか?」 「や、ちょい待て!」 「はいはい」 「うーんうーんうーん……」 (数分経過) 「うーーーーーーーーん」 「もーいいじゃん。諦めれば?」 「いや、待て! こう、今、出てきそうなとこなんだよ! もう、喉までは来てるんだ! 喉までは!」 「ほんとかよ」 「うーん…」 「…まだかよ、おい」 「黙れ! 今、精神を集中してるんだから!」 「なんだよ、こんなことくらいでムキになってん 「あっ!」 「お?」 「辺見貴志!」 「……へんみたかし? それ、人の名前…?」 「うん。小三の時のクラスメイト。一回だけ同じ班になったことがあんだけど、ほとんど話したことなかったなー。なんか気味悪いくらい元気な奴でさ、俺はちょっと苦手なタイプだっ 「全然関係ねーじゃん! それ!」 「あっ、そっか。『へ』で始まって『し』で終わるってのにばっか気ぃ取られてて、質問の内容忘れてた。あ、えっと、悪いけどさ、も一回質問言ってくれねえ?」 真田一馬はそう言って、照れ隠しにエヘヘと間抜けっぽく笑った。 「もーいい!」 答:『へびのなまごろし』(蛇の生殺し) |
郭英士にクイズ! 「英士、お前みたいなの、なんていうか知ってる?」 「いきなり何だよ」 「お前のそうゆう、一馬に対するような、中途半端で不甲斐ないダメダメな姿勢」 「…お前な、一体…」 「はいはいクイズですよ。お前のそういう姿勢をなんていうでしょ〜?」 「……」 「ヒント1.最初の文字は『へ』です。ヒント2.最後の文字は『し』です。つまり、『へ』で始まって『し』で終わる言葉」 「…『へ』…『し』…、『へ』で始まって『し』で終わる言葉なんか『兵士』と『平氏』と『変死』くらいしか思い付かないね」 「どれも全然関係ねーじゃん」 「そうだね。で、答えは?」 「えー。もう降参〜? つまんねーの」 「はいはい。降参降参。答え言ってみな」 「英士のボキャブラリーもたかが知れてんなー」 「はいはい。で、答えは? 気になるだろ」 しゃーなしで答えを言った若菜結人は、郭英士に頭をゴツンと一発殴られてしまいました。 「んだよ、お前は! 図星指されたからって怒ってんじゃねえよ! ガキ! バカ! ランボー者! 死ね!」 答:『へっぴりごし』(屁っ放り腰) |
「つまんねーなあ」 若菜結人は呟き、足下の空き缶を思いきり蹴り上げました。 宙に舞って飛んでく缶。 さて、空き缶の落ちる場所はどこでしょう? 「つまんねーなあ」 ほんとにね。 ・終わり・ |
Nov.1,2000
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