いつでも愛ある明日を信じていたい




* さわやか三人組 *



どうやら俺のことを好きみたいな真田一馬に発破を掛けてみよう!(興味本位で)
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「お前さ〜、本当に俺のことが好きなんだったら、もっと、ちゃんと、こう、ガツガツとアプローチせにゃならんよ? 今みたいなまんまじゃ、いつまで経っても俺を落とせませんよー」
「な、な、なんだよっ。いきなり何の話だよ!」
「お前って、ほんとヘナチョコだよな〜」
「なんでお前にそんなこと言われなきゃならねーんだ!」
「『そのヘナチョコっぷりがかわゆい〜』なーんて思ってくれんのは英士くらいだぜ?」
「うっ…」
「もっとちゃんとしろよ。本気出せよ」
「……お前にはかなわなねえなあ…」
 ボソッと一馬が言った。
 うん、一馬はやっぱり可愛い! さすが、あの郭英士のハートを奪っただけはある。あー、でも可愛いからってだけで恋愛対象にはならないけど。ほら、一馬にはさー、色気が足りねんだよ、色気が。って、奴に色気があったら気色悪いけど。ていうか、どうあがいたって一馬は男子じゃん! 駄目じゃん! おっぱいないし!(おっぱいとか言うな! と、ここで自分で突っ込んでおこう。)やっぱ女子がいいヨ、女子が。柔らかくて!
 でも俺、一馬のこと大好き!(友達としてだけど)


あからさまに一馬のことを好きな郭英士に発破を掛けてみよう!(やっぱり興味本位で)
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「知ってると思うけどさー、一馬って俺のこと好きだよ?」
「知ってる」
「でも俺は、一馬のことは友達としてしか考えられねんだよなー。俺今好きな子いるしな。近くの女子高に通ってる二年生の人。もーすげー美人でお嬢様! へっへ〜、これがさ、ちょっと上手くいきそうなんだよな、色々と」
 英士は、「ふうん」と、人の話を聞いてるんだか聞いてないんだか分からないような相槌を打つ。このやろ。もっとちゃんと俺の話を聞けー。
「で、今はその人に夢中なんだけどさ、でも、いつその熱が冷めるかなんて分かんない。今は一馬のこと恋愛対象として見れないけど、でも、もしかしたら、そう、万に一つ・億に一つの確率とかでさ、一馬のこと好きになっちゃうかも。英士が一馬を好きみたいな意味で。俺、分かんないよ? たとえば、俺が恋に破れてしまったとして、そんで落ち込んでる時に、一馬に本気で押されたりしたら、うっかりなびいちゃうかも」
 英士は黙ってしまって、相槌すら無し。こいつ、ちゃんと聞いてるんだろうか。聞けよ。
「英士、一馬のことを本気で好きなら、俺に一馬を持ってかれたくないと思ってるんなら、本気出せ。嫌われることを恐れるな。上手くいかなかった場合を想像して躊躇するな。立ち止まるな。本当に大事なものは何なのかよく考えろ。自分の内側ばっかに目を向けてんな。前を見ろ。そこには誰がいる? 一馬だろ? いい加減本気出せよ」
 しばらく英士は黙ってて、その後やっと重そうに口を開く。
「一気に色んなこと言うなよ。混乱する」
 なんだよ、それー。
「色んなことなんか言ってねえよ。俺が言いたいのは一つだけだもん」
 俺の言葉に、英士は少し考え込むような顔をする。
「長いこと友達やっててしかも男の俺が言うのもなんだけど。かっこいいよ、結人は」
 何? 何それ!? いきなりの英士の言葉に、若菜結人ちょっぴりビックリ。
 しかし、若菜結人、さすがです。何を言われても余裕の態度で対応。英士ごときの言葉で揺らぐわけが。
「今更だなー。もっと早く気付けよ」
「一馬がなんでお前を好きなのか分かる」
「………」
「俺が動けない理由は、そこにもあるんだ」
 なんだよなんだよ、急に殊勝になりやがって。調子狂うじゃねーか。
「お前にはかなわないよ」
 ちょっと困ったような笑いを浮かべて英士が言った。
 …もー、英士はこれだから。肝心なところでこれだから〜。こんなんだから、一馬の中で『良い友達』止まりになっちゃうんだよ、英士は! 駄目だねー。よっし、今度気が向いた時にでも、駄目英士のために『若菜結人の恋愛講座〜恋に悩むあなたのために…〜』を開講してやろう! どーやったら郭英士が真田一馬を落とせるのか、若菜先生と一緒にお勉強! はっはっは。
いや〜、俺、英士大好き!(勿論友達として!)


・・・・・・
「あ、一馬、コートのボタンが一個外れてる」
 言いながら、英士は一馬のコートに手をかけて、上から三番目のボタンを止める。
「ありがと」
 こらこら、それくらい自分でやらせなさい。全くも〜こいつらは、過保護なお母さんとボンクラ息子みたいな状況のときが多々あるから、目も当てられない。
「結人、どうかした?」
 少し憮然とした様子の俺に、一馬が声をかける。
「べっつに〜」
「結人、どうかしたの?」
 英士が一馬と同じ質問をする。こいつ! こいつは分かって言ってるよ。顔がちょっと笑ってるもんな。なんだよ。こないだは、あんな殊勝だったくせに。『結人くん、かっこいい!』とか言ってたくせに!(※若干の脚色あり)けっ、憎らしい。
 …まただ。「あ、一馬、マフラーが」とか言いながら、英士が一馬のマフラーを直してる。も〜なんなんだよ、こいつらは〜。恥ずかしい〜。どー見ても出来上がっちゃってるんですけど。一馬は俺のこと好きだなんて言うけど、ほんとなのか疑わしくなってくる。一馬は気付いてんのかな。英士にコートのボタン止めてもらったりマフラー巻き直してもらったりしてるとき、自分がすごく安心してなおかつ嬉しそ〜な顔してるってことに。英士も、一馬の世話焼きながら、すごい嬉しそうな顔してるけど。あ〜端から見てると恥ずかしい〜。寒い〜。誰かこの人たちを何とかして〜。お花畑につれてってあげて〜。
 でもさ、こいつら見てると『微笑ましいなあ』なんて思ったりしちゃうのも事実。なんだかんだいって、俺、君らが大好きなんです。だから、俺こそ、君らにはかなわないんですよ、ほんと。色々けしかけたりとかしてゴメンねー。でも
愛ゆえ! 色々あるけど、明日からも仲良くしてネ。 そう、これからも、仲良しトリオでガツガツ行こう!




・終わり・

Dec.30,2000
前の前のサイトの最後のSSでした
タイトルはNHKの「さわやか3組」という番組(今もまだあるのかな…)のもじりです
「いつでも愛ある明日を信じていたい」というのは、くるりの「ランチ」の歌詞から



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