俺、人差し指で、英士の中指をなぞりながら、
「手タレになれるよ、英士は」
細くて長い指、白い手の甲に浮き出る繊細な青い血管、大きくて整った楕円形の爪。
ほら、ハンドクリームのCMに出てきそうなさ、そんな感じ。完璧だね。
指の先まできれいな人
ほんと、引け目感じてしまうくらいにね。
愛しい人
いとしい人、いとしい人、いとしい人
ゆびのさきのつめのさきまで、どこまでもいとしい
苦しいくらいにいとしい
こんな気持ちにさせないで
息が詰まって息苦しい生き苦しい
苦しい
「俺は一馬の手、好きだな」
英士は言いながら、俺の手を握ってきた。
「指、短いよね。かわいい」
「短くねーよっ。お前の指が無駄に長いんだよ」
「あと爪ね。丸くて小さい。子供みたい。かわいいよ。
指の先までかわいいね」
わ、もう、痛々しいくらい、甘ったるい雰囲気。
あまりに恥ずかしくて、つい乱暴に、
「馬鹿」
と、吐き捨てた暴言すら媚びた響きを帯びて、
甘ったるい空気にしっくりとしっとりと馴染んでしまって、
余計恥ずかしくなった。
もう、本当に恥ずかしくて、消えてしまいたいくらい、
どうしよう、俺は、ほんと、俺、
あ な た に な ら ば 殺 さ れ て も い い わ |
/恋ってまるで宗教みたいね/それは私の糧となり/私を救い/私を生かし/そして私を殺し得る/
/教祖はあなた/世にも尊く/世にも美しく/世にも素晴らしい/私の神/私の神経/私の全世界/
/殉教さえも厭わないわ/血も魂もあげるわ/あげるわ/あげるから/信じるものはあなただけ/
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