嫌がらせみたく何度もドアチャイム鳴らしてやった。やっと扉が開いて現れた一馬は、元から吊り上がった目をさらに吊り上げ鬼気迫る顔をしていて、さらに右手には包丁がしっかり握られていたものだから、さすがの僕も腰を抜かしそうになったりしました。
「おおおおお、なんだそれは。危ないではないか。しまえ!」
 包丁の刃、めちゃめちゃ光ってるんですけど。よく切れそうだなあ。
「人が料理してる最中にいきなり訪ねてくるお前が悪い」
「料理? 一馬が?」
「悪いか」
「いやー悪いくないっつーかむしろ実にいいよ、うん。まあしょうがないから味見してやろう!」

 そんで、「料理」が出てきたわけですが…
「えっ…」
 目の前にドンと置かれている「料理」と向かい合い、戸惑うばかりである。
「えっ、何これ」
 大きな皿に山ほど盛り上げられたキャベツの千切り。もうちょっとそれはどうなのかというくらい高く盛り上がってる。
「見ての通り、新鮮なキャベツを細く刻んだものだけど?」
「うわ〜、引くわ、これ。やり過ぎだろ。何がお前をここまで追い詰めたのか…(素)」







「俺とつきあっちゃうか?」
 なんて言ってやった僕に、
「バッカじゃねーの」
 と即答。ちょっと傷付いちゃうよなあ。
「ていうかさっさと食えよ」
「よし、これ一人で全部食べるから俺とつきあおう」
「バッカじゃねーの」
 またそれかよ。語彙すくね〜。そしてつめた〜い。でもまあそんなとこもね、愛しいのよ。なんてね。まあとりあえず食べますか。君の手料理(それはどうかなあ…)を!

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