2004年07月26日の日記より。
 そこはかとなく将来を不安がる進藤ちゃんっていいよね。大学二年生の夏の夜、アパートの近くの公園で、タテと進藤ちゃんは花火をしてる。最後の花火が終わったとき、進藤ちゃんは、「俺たち、いつまでこうしていられるのかな」と呟く。きっとタテは「いつまでもだよ〜」っていともあっさり返してくるんだろうな、って進藤ちゃんは思ってたんだけど、タテは無言。進藤ちゃんは、すごーく不安になって、変なこと言わなきゃよかった、って心底後悔する。進藤ちゃんが俯いてると、タテは、どこに隠し持ってたのか一本の花火を差し出してきて、
「じゃーん! まだ残っていたのでした〜!」
「……」
「あげるよ、進藤ちゃんに」
「…うん」
「さー、これがほんとに最後の花火だよ。大事に火を点けて、大事に見守って」
「もったいないから取っとくよ、次の夏まで」
「だめよ、そんなの〜。湿気ちゃうでしょーがー」
 進藤ちゃんは「やだ、とっとく!」と反論するんですが、「だめ! 今やるの!」というタテに負けて、結局火を点ける。
 ぱちぱちと、最後の花火が小さく鮮やかな命を燃やして咲いて散る様を、二人は黙って見守る。
「進藤ちゃん」
「ん」
「俺ね、進藤ちゃんがいればそれでいいんだよね。ほんとうに。望みはそれだけで、それが全てだよ」
「…うん」
 そして花火は今度こそ、本当に終わる。
 また明日花火買ってやろうよ〜って、タテは微笑み進藤ちゃんの手を取る。そうだな、って答えて、タテの手を握り返しながら、明日なんて来なくてもいい、と進藤ちゃんは思う。そんなこと思ったのは、生まれて初めてだった。
 あなたがいればそれでよくて、ほんとうに、それだけで、それが全て。
 のはずなのに、不意に目の前が暗くなって、足元がぐらついて、いろんなことが恐ろしくなってしまうのよ。

 とかそんな感じ。(何がだよ)







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