タテノリせんせいと進藤くん



「うーん…、分かんない…」(一通り立松の説明を聞き終わった後、眉を顰める)
「よし、どこが分かんないのか言ってみ」
「どこが分かんないのかが分かんない」
「ぜんぜん分かんないわけね」
「うーん、そうなのかな。それすら分かんない」
「…も一回ゆっくり説明するね! 確認しつつ」
「いや、待って。なんつーか何回説明されても分かんないという確信だけはあるわけで…」
「あちゃー」
「やっぱ、『あちゃー』なんだ…」
「重症だね」
「じゅうしょう…」
「危篤だね」
「…きとく!」
「真面目にやろうぜ(素)」
「俺は真面目だって!」
「はい、うそ〜。シンクロのこと考えてるでしょ」
「うっ」
「いい? 進藤ちゃん。シンクロはとっても大事だよ。しかしながら今はテスト勉強の時間です。頭切り替えて」
「…先生みたいに…」
「今だけは進藤ちゃんの先生のつもりだも〜ん、俺」
「ちょっと一人でゆっくり考えながらやらして」
「はい」
「つーか、立松。見ないで」
「ん?」
「俺が解いてるとこ見ないで。気になる。集中できない」
「…分かった。見ない。(解説集を開いてパラパラめくりつつ)つまり俺が見てなかったらやれるわけね」
「そうやってプレッシャーかけるのも禁止」
「注文が多いなあ」
・・・・・
(10分後)
「あ〜〜〜やっぱ無理! もういい…疲れた…」(シャーペン置きつつ)
「バッカ、もうちょっとねばれって、
「ばかぁ? お前なあ、バカって思ってもそれを口にし
「言葉のあやだよ」
「もういい。立松の教え方が悪い」
「ほ〜」
「今度から勉強は田中に教えてもらう」
「おりゃっ」(進藤の額をシャーペンで弾く)
「ぎゃっ!」
「甘い。甘過ぎる。その程度の言葉でタテノリせんせいの動揺を誘えるなんて思ったら大間違いですよ!」
「べっ、別にそういうつもりじゃ…
「しゃーない。ちょっとだけ休憩しますか〜。ちょっとテレビ点けてもいい?」
「あっ、じゃあビデオ見よ!」(シンクロのビデオ取り出しつつ)
「そういうことしてたら絶対に勉強に戻って来れなくなるって」
「まあまあ、大丈夫だって。ちょっとだけだから!」(シンクロノートも出してきつつ)
「明日模試でしょ」
「分かってる分かってる。だからもうちょっとしたらちゃんとやるし!」
「もうちょっとしたらって、いつだよー」
「タテノリ先生が付いてるから平気じゃん! ちょっとの勉強でもだいじょぶだいじょぶ!」
「唐突に調子のいいことを」
「よっ、東大確実!」
「あーもーはいはい。よかろう。見ましょう」
「わーい」(早速ビデオ入れる)
「『わーい』て。かわいいやつめ。チューしてやる!」(進藤の腕掴んで顔近付ける)
「うわっ!」(顔逸らす)
「なんてウッソ〜」(ぱっと腕離す)
「……」
「あっ!! 何その残念そーな表情は!?」
「はあ? はい、ビデオビデオ…」
「ごまかすし〜」
「つーかビデオ見ろって…、…!!!!」(頬にいきなり音立てて口付けられた)
「わはははは、もーなんか勉強とかどうでもよくなってきたぜい」(上機嫌)
「おーまーえーな〜!」(頬押さえて赤くなってる)






アホだ…! (言うまでもなく私が)





Aug.3,2003

SSトップ


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送