私はあなたに、どこかへ連れてって、なんて、言ってないでしょ。
恋をして、絶望して、
苦しみの果てに真実の愛が待ってるかっていったら、そんなわけなどなく、
かといって、破滅が待っているわけでもなく、
行く着く先には、何もないかもしれないの。
(どこにも行く着くことなどないのかもしれない。)
それでも、性懲りも無く、僕は、僕らは。
恋ゴコロと絶望積み重ね、心身削って息をする!
(たまに息止めてみて死んだふりするのもアリ)
2003年10月25日(金) あー、ちょっと質問があったので、まずそれに答えさせていただきまーす。 ・そうです、私の住んでる県はそこでーす。 ・唯×しょーちゃんもやりたいです。しかしながら私は芸幅狭々なので…、ぐっすん。 ・えーと、ウィルスは大丈夫みたいです。なんでそういうことが起こったのかよく分からないんですけど、心配してくださってありがとうございました。 メルフォからのメッセージ、返信できてないんですけど(すいません!)、大事に拝見しております。ありがとうございます。うれしいです、すごく。 それでは大学生編最後のメモを。 タテがバスに乗ってる間、進藤ちゃんは学校で1コマめの授業を受けています。学生たちはまだ正月気分が抜けてないようで、どこかぼんやりしている。進藤ちゃんも、ぼんやりしている。立松を、想う。 (立松が居なくても、新しい年は、平和に流れています。でも、年明けの瞬間は、一緒に居たよな。まだ起きてたもん。一緒に、年を越した。立松が居たから、新しい年が訪れたのかもしれない… ていうか…ああ…どうしよう…めちゃめちゃ眠い…) 一方タテですが、バスの中、思わず席を立ち上がった後で、はっと我に返ります。 「と、いうのは冗談です。ごめんなさい」 と言って再び席に着きます。周りの人は驚いたり眉を顰めたり失笑したり目を逸らしたりしています。 (いかん、思わず…。ここで降りてどうする。あー俺は何がしたいんだ〜) タテに飴をあげた小学校低学年の女のこはニコニコしてます。 「元気になったみたいでよかった」 「君のくれた飴のおかげです。元気出過ぎて勢い余っちゃったけどネ★」 「あはは」 「もいっこちょうだい」 「やだ」 「あら〜」 そこで女のこはちょっとだけ俯いて、でもすぐに顔を上げて、タテのほうを真っ直ぐに見ながら、 「私ね、久しぶりに学校行くの」 タテはどこか深刻げなムードを感じ取りながらも、冗談ぽい口調で、「冬休み明けだから、僕も久しぶりの学校ですが」と返す。 「そうじゃなくて、もっと前から、長い間休んでたの。でも、年が明けたでしょ。それをきっかけに、行くことにしたの」 「…偉いね」 「えらくないよ。毎日ちゃんとしてる子のほうが、えらいよ」 「そんなことない。だって君は」 「うん」 「飴くれたし…」 「…お兄さんは食べ物に弱い人…?」 「どちらかといえばそうかもしれません」 「そうなんだ〜(笑)」 「やっぱり、偉いよ。決断したのは自分でしょ? 自分で決めて、それで今だって、一人でバスに乗ってる。すごく、偉いよ」 「えらくないよ。だって、自分以外の誰にも決められない。誰に『すすめ』って言われても、すすむかどうか決めるのは、足を前に出すことができるのは、自分だけだよ」 「……」 「…なんで泣くの?」 「うっうっ、…や、なんかもう、涙腺がふにゃふにゃのぐにゃぐにゃでして…」 「しょうがないなあ。 はい!」(手を伸ばしてタテに飴をあげる) (ああ、『すすめ』、と、神さまが言っている。気がする。 でもそれは自分で決めることなんだ) タテは、ちゃんと学校の近くのバス停で降ります。あ、降りるときには、鞄を忘れそうになります。そいで女のこに指摘されて、「わ!」と驚く。 (なんて豪快な忘れ方をする僕…。 でも、もう、忘れ物とか知らん。 もう知りません。 って、それは駄目か。 進藤ちゃんに会いたい) そいでタテは、ほんとに会いに行こうとする。友達に自転車借りて。でも途中で車にぶつかるんです(素) って、あ、今、この陳腐な展開に引いたでしょ? でもずっとこういう展開にするつもりでした。まあそれはいいとして(いいのか)、怪我はそんな大したことなかったんだけど、タテの事故を知って動転した田中が、進藤ちゃんに大げさに伝えたものだから、進藤ちゃんは「立松が死ぬかもしれない」とまで思って、倒れそうになりました。で、慌てて病院行って、看護婦さんと談笑してるタテを見て思いきり脱力するんですけどね。タテ(一応入院することになった)は、ちょっと進藤ちゃんと二人で話したいっていったので、二人きりになります。いや、二人きりといっても、個室じゃないから、他の患者さんがベッドで寝たりとかもしてるんですけど。 話したいとか言ったくせに、タテは何も言おうとしない。だから、進藤ちゃんのほうが先に口を開きます。 「おーまーえーはー…、も〜う!」 「わっはっはっ」 「誕生日に出てったり嫌がらせみたいにケーキ贈ってきたり人の部屋の前にツリー置き去りにしたりいきなり実家まで来たりまた出てったり事故ったり…」 「俺は何をしたいんでしょうね?」 「知るかっ。…忘れ物、ちゃんと取って戻って来れたら、分かるんじゃない? って、こんなこと、言ってて恥ずかしいんだけど…」 「ははは」 「でも、もういいよ。忘れ物はもういいじゃん」 「いいかどうかは、俺が決めることだよ」 「…何を偉そうに…」 「うわっ何その冷めた目は!」 「もう、いいかどうかは、俺が決める」 「えっ(笑)」 「なぜなら俺が…」 「?」 「リーダーだから…」 「わっはっはっ!」 「こんなときにこういう冗談言うのはさ…、ほんとに、もう、あれだからだよ…。なんかもう、俺、すごいびっくりして、心臓止まるかと思ったんだからな。そしたらお前、笑ってるんだもん。なんか俺もう、色々アホらしくなっちゃって…」 「すいません…(笑) いや、まじでまじで」 「俺が車とぶつかったらよかった…」 「えっ」 「って思った。俺のほうが死ねばよかった、って」 「ええええええええ。ていうか死んでないし!」 「もう胃とか心臓とかめちゃめちゃ痛いし。俺、そのうち死ぬかも…」 「死にそうになったのはこっちよ〜(笑) ってまあそんな大した事故じゃなかったんですけどね」 「立松、俺さ、かなり疲れてたみたいなんだ。だってお前、また出てっちゃうんだもん。力が抜ける。でも、まあお前のことだからって、お前らしいよなって、思って。ちゃんと怒れないんだよ。今お前のこと、グーで思いきり殴ってみたらちょっとはすっきりすんのかな」 「いくらでも殴っていいよ」 「怪我人が、よく言う。でも、怪我してなくても殴れないよ。でも、今は、抱き締めることもできない。ちゃんと怒ることも、全部許すことも、できないんだよ。…許すなんていったら、傲慢かもしれないけど…」 「……」 「お前を分かりたかった。お前と一緒に居たかったんだよ」 「って過去形かよ(笑)」 「だってお前は、俺が『分かりたい』って思うことすら許してくれないじゃん」 「…進藤ちゃん…」 「……」 「進藤ちゃんてば」 「なんだよ」 「鼻毛でてるよ」 「!」 「うそだけど」 「!!!」 「わはははははは」 「お、お前なあ〜! …うっ、気持ちが高まりすぎて心臓が苦しい…」(タテのベッドに顔を突っ伏す) 「だいじょ〜ぶ〜?」 「誰のせいだよ…」(顔をちょっとだけ上げて、上目遣いでタテを睨む) 「出た〜、リーダー必殺・魅惑の上目遣い〜」 「立松!」(ばっと顔を上げる) 「わーわーごめんなさい。いや、シリアスなムードをね、ちょっと緩和させようとしてね」 「いらんことしないでいい!」 「へへ、すいませんでした」 「あーもーイライラするっ」 「わっはっはっ」 笑った後、タテは少し真面目な表情になって、でもすぐにふざけた顔になって、 「俺の初夢、悲しかったんだよね。俺は、大人になって、結婚して、普通に幸せな感じで暮らしてんの。進藤ちゃんも同じで、俺の知らない女のこと結婚して、やっぱり幸せに暮らしてる。それぞれの暮らしを持ってる。さしたる不満もないはずなのに、俺はある日、強烈な違和感に襲われて、居ても立ってもいらんなくなって、車がガンガン走ってる道路に飛び出しちゃう。 …で、撥ねられて、ズィ・エンド」 「…立松は、自分から飛び出したんじゃないよ。今回の事故は、車のほうの不注意で…」 「分かってるって。だから、さっきのは夢の話」 「……」 「いきなり、耐えられなくなったんだよね。進藤ちゃんと一緒じゃないのが、耐えられなくて、命が無意味に思えたんだ」 「……」 「引いたでしょ」 「…戻って来れば?」 「えっ」 「戻って来ればいいじゃん。それで、一緒に暮らそう」 「…でも、また同じこと繰り返しちゃうかもしれない…」 「そのときはそのとき。また出てっても、いいよ。で、また別れて。またヨリ戻したり」 「わっはっはっ」 「でも、次はまじで殴る。平手じゃなくて、ちゃんとグーで」 「わ〜、こわーい!」 「で、抱き締めるよ」 「……」 「立松が居ないと、さみしいよ。心が、スースーする。スースーするのを我慢して生きてくことはできるけど、でも…」 「俺はね〜、スースーするどころの騒ぎじゃないよ。なんかもう、心臓が無くなったみたいだもん。それでも生きてる自分が気持ち悪いの」 そこでタテは、シーツの下から鍵を取り出します。それは、二人で一緒に暮らしてた部屋の鍵です。 「これをね、ずっと持ち歩いてたんだよね。どこに行くときも常に。もう体の一部みたいに、ずっと。一生使うことはないって思ってたんだけど、手放すことはできなくて、手放すつもりもなくて。大した怪我しなかったのも、心臓が無くても生きていけるのも、これのおかげなんだよね、きっと。だから、もう、それだけで、いいんだよ」 「……で?」 「『で?』って言われても(笑)! そんだけなんですけど」 いきなり、進藤ちゃんの目からポロポロと涙が零れ落ち始めます。 「感動的な話ではあるけど、自己完結し過ぎ…」 「てへへ」 「もう、俺の入り込む余地ないじゃん」 「……」 「ちゃんと、お前の人生に巻き込んでよ。一緒に歩いていきたいんだよ。道がなくても」 「……」 「…泣いてないからな?」 (めちゃめちゃ泣いてるじゃん…) 「今『めちゃめちゃ泣いてるじゃん』って思っただろ」 「わはは、心読まれた〜」 「読めるよ…」 「…じゃあ、うん、そうする」 「そうするって?」 「退院したら、戻るよ。一緒に暮らす」 「…!」 「へへへ」 「…それ、俺の涙を止めるために言ってんじゃ… 「ないよ! そうじゃないよ。つーか泣いてないんでしょ?」 「泣いてないよ…」(ズズズ、と、はなをすする) 「進藤ちゃんは、タテノリが居ないと駄目なのかにゃー」 「…今更何をそんな基本的なことを…」 「これって基本なんだ?」 「基本だろ?」 「俺はさ、もうあれだから、病気っつーか、もうやばいくらい、引かれて当然ってくらい進藤ちゃんのことが好きで好きで。ぐちゃぐちゃで。醜くて。でも進藤ちゃんは、そういうんじゃないでしょ。真っ直ぐでさ。年賀状、拝見しました。なんていうか、まとまりなかったけど、素っぽくて、キュンとしたっていうか…。やっぱ、不釣り合いなのよ、色々と。俺、自信ない。ていうか進藤ちゃんはさ、やばいくらい俺のこと好きってわけでもないでしょ。でも、同情はすごくしてくれてるよね? 情に絆されちゃってさ。それを、恋愛感情と履き違えてるとこ、あると思うんだよね。俺はさ、進藤ちゃんのそういうとこに、付け込んでるんじゃないかなって…、なんか、もう…、」 「〜〜〜〜〜〜」(信じられないものを見る目でタテを見る) 「…何よお」 「あああああああああああああああ」 「うわっ、ご乱心?」 「…ちょっと、もうまじで、ほんと、退院したらきっちり話し合おうな…」 「えー(笑)」 「俺ら、もうちょっと高度なとこでケンカしてるのかと思ってた…」 「はい?」 「バカバカしい。なんかもうすっげーバカバカしくなってきた。あー力が抜ける…」 「えーーー(笑)」 「お前ってさ、頭いいくせにほんっとバカだよな(素)」 「それは田中じゃん(素)?」 「いや、お前の場合、田中とはまた別のバカさっていうか、 「あ、進藤ちゃんも田中のことバカだと思ってんだ? 今度言っとく」 「思ってない! ていうか話が逸れてる!」 「田中のせいだね」 「お前のせいだろ!」 タテは笑って、進藤ちゃんは呆れて。 進藤ちゃんは、タテに指きりを求めます。タテは苦く笑って、困って、でも、結局は小指を差し出す。 「絶対戻って来るって、約束して」 「ん。します」 「神に誓う?」 「誓う。俺の世界の中心にある、きらきらした場所に誓う。そこが俺のすべてだからね」 「…俺はお前の神様とかじゃないよ」 「知ってる」 タテは進藤ちゃんの小指に口付ける。 (あなたと、また一緒に暮らすのが、 死ぬほどうれしくて、 死ぬほどこわい) お・し・ま・い★! ってここで終わりかよっ、ってうん、終わりです(素) いつか後日談とか七夕ネタ(気になるって言ってくれた方がいたので)とかもできればいいなとそこはかとなく思っているには思っているのですが、これで終わりは終わりです。わはは。見てくれてた方々には本当に感謝! 最初は、こんなふうにとりあえずの区切りをつけるつもりも全然なかったんだけど、続きが気になるって言ってもらえたから、ちょこちょこ続けてこれました。ほんとうにありがとうござました! |
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