春がきて、ぼくたちは。

2003年11月1日(土)
 じゅのん12月号買うたよ。…かっ…、かーっ…!! こわい…。茶髪も黒髪も恐ろしいほど似合ってしまうみー様が恐ろしい…。あまりの恐ろしさに一瞬で閉じたので、全然読んでないんですけどね、うん。あとねー、ビデオに録画したまま見るのを忘れてたHEY!×3見たんですけど、もーびっくり。ぴー様ってば輝き過ぎ。凄まじいアイドルオーラに目を潰されました。そっかーあんなかっこいい人とつきあってるんだー、やまだ君って。とかとか。ナマのほうはよくわからないんですけど、メルフォから「立進もいいですけど、ぴーやまもいいですよ」みたいなメッセージをいただいて、「そうかー」と思って、うん。みー様とぴー様両方とも従える超お姫様なやまだ様が見たいです。そうゆうドラマ作りましょうよー、ねー。作るべき。深夜枠で。ね! まあ見たら死にますけどね、普通に。でもそれで死ねるなら本望です。みー様→やまだ←ぴー様 て。すげー。もー字面だけで犯される。みーやま・かつ・ぴーやま て。もー今世紀最大のロメンス間違い無し。潤いまくって萌えの洪水。死人ぞくぞく。ああ神よ…! あっそうだ、大学生編にはぴー様も出るといい。進藤ちゃんの学校の後輩でよいよ。ひとつ下の学年でいいです。役名は、山下ぴー久、略してやまぴーです。バイト先も一緒でいいよ。進藤ちゃんがコンビニでバイトしてるって知ったぴーは、たまにそのコンビニに行くんだけど、ある日そのコンビニにバイト募集の貼り紙が出てて、もーその場で即面接希望します(履歴書持ってきてないのに)。ぴーは進藤ちゃんのことを「勘九郎せんぱい」って呼ぶんだよ。萌え〜。まあそれはおいといて(素) 今日は大学生ネタの後日談を。進藤ちゃんの一人称で。あー季節外れ…。↓

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 春です。まだぜんぜん寒いんだけど、もう春で。俺たちはもうすぐ二年生になる。春休み、俺も立松もバイトバイトの日々。俺は朝から夕方までバイトしてて、立松はというと、午前中は図書館で勉強して(「すごいなあ。学校の勉強?」と訊くと、「や、そうじゃなくて。ちょっと取りたい資格があってね、その勉強っていうか」って言ってた。立松はすごいなあ…)夕方からバイトなので、家でゆっくり顔を合わす時間はあまりない。でも、日曜日は絶対一緒に居ようね、って立松が言って、俺もそうしたいって思ったから、「日曜入ってほしいんだけど」って店長に頼まれても(俺はコンビニでバイトしてる)、「日曜はどうしても無理なんです」って断ってる。日曜日に何してるかっていったら、そんな大したことするわけでもなく、二人でテレビ見てごろごろしたり、家の掃除をしたり、近くの公園に散歩に行ったり、そんなんだ。でも、二人で過ごす他愛無い時間が、あまりにも大事で、涙が出そうになることがたまにある。先週の日曜日、10時頃起きて、遅い朝ご飯を摂って、レンタル屋に行った。「これってね、俺と進藤ちゃんの話なんだよ」って言って、立松が一本のDVD(の箱)を持ってきた。「はあ?」と返すと、「両想いなんだけど上手くいかない二人が、傷付け合って、別れて、でも最後にはハッピーになるの」だって。生憎レンタル中で、立松は「進藤ちゃんと一緒に見たかったのに><」と悔しがってたけど、正直どうでもよかった。俺と立松の話は、この店のどこにもなくて、どの店にもなくて、俺と立松の間にしか、ここにしかないんだよって、言ってやろうと思ったけど、恥ずかしいからやめといた。結局何も借りずに店を出た。帰り道、立松がそっと手に触れてきて、「手を繋ぎたいけど、人に見られるからダメだよね」と小さな声で言った。別にいいよ、って返そうと思ったんだけど、やっぱり恥ずかしくて、でも、「ダメだよ」とだけ返すのも、無言なのも、なんか違うって思ったから、「家に帰ってからいっぱい繋ごう」って言ったら、立松は一瞬びっくりしたみたいな目になって、その後、すごい幸せそうに笑って、そしたら細い目が無くなった。「にやにやすんなよ…気持ち悪い…」ってつっこんでやったら、「進藤ちゃん、俺、幸せ」って。…なんて恥ずかしいことを! でも、俺もそうだ、って。俺もそうだよ。幸せだって。思った。あんまり幸せなので、ちょっと不安にもなって、なんだか、泣けてきそうだった。
 俺はいつのまにか豆乳プリンを食べられるようになりました。あんなに変な味って思ってたのに、慣れるとそうでもなくて、意外にこれが…。一口食べて、「何この味」と思ってもう一口、「やっぱ変な味だよなあ」と思ってもう一口、「どうなんだろう」と思ってもう一口、そうしてるうちに全部食べ終えちゃう。立松が自分のために買ってきた豆乳プリンを夕飯後のデザートとして勝手に食べたら、夜中、バイトから帰ってきた立松に起こされて、「俺の豆乳プリンちゃん、食べたでしょ!?」と詰め寄られた。
「うーん…、食べてないよ…、おやすみ…」
「おやすみ、じゃないよ! 進藤ちゃんじゃないなら誰が食べたの!」
「…知らない…、ねずみとか…?」
「ねずみなんていないもん!」
「…もー…豆乳プリン一個ごときでうるさいなあ…」
「やっぱお前が食べたんじゃん!」
 とまあそんなことが何回かあってから、立松は俺用に豆乳プリンを買ってくるようになったんだけど、これが不思議なことに、俺のために買ってくれた豆乳プリンに対しては全然食欲が湧いてこない。冷蔵庫に一個だけ大事そうに取っとかれてる立松用の豆乳プリンにしか、興味無い。俺は別に、そんなに豆乳プリンを好きになったというわけではなくて、単に、立松の怒った顔とか慌てた顔とか困った顔とか呆れた顔とかが見たかっただけなんだと思う。
 ある日、バイトから帰ってきて郵便受けを見ると、立松宛てに薄いピンク色の封筒。差出人は女の子で。住所は、北海道。なんだろう。これを出した子と立松はどういう関係なんだろう。封筒はそこそこ重くて、振ってみると、かさかさと音がする。写真が入ってるっぽい…、とそこまで思ったとこで、はっと我に返った。俺、悪趣味だ…。部屋に入ると、立松が居て、いつもだったらもうバイトに出てる時間なのに、と驚いていると、「今日は急に、いつもより遅めに入ることになったんですよ」と、訊く前に答えてくれた。どことなく罪悪感を感じて、ちゃんと顔を見ることができなくて、ちょっと目を逸らしながら手紙を差し出した。えっ、と言いながら立松は手紙を受け取って、封筒の裏を見て差出人を確認してから、あー、と言った。
「あー、あのね、この子は高校時代の友達なのよね。東京の高校の。今は結婚して北海道にいるんだけど」
 結婚、という言葉の響きにちょっと驚きつつ、「…別に訊いてないじゃん、何も」って返したら、立松は「なに怒ってんのー」と笑った。怒ってない。断じて。でも、さっきの言い方は、ちょっと、あれだったかな、おとなげなくて、妬いてるぽくて、恥ずかしいかも。ちょっと。
「実はさー、高一んとき、ちょっと付き合ってたんだよね、この手紙の子と。でも、彼女に好きな人ができちゃって、別れたんだけども。俺、別れようって言われたとき、めちゃめちゃショックで、絶対やだって思ったから、考え直してよって、ごねて、なかなかね、ちゃんと別れるまで時間がかかって、色々きつかったっていうか、傷付いたり傷付けたりしたんだけどねー。でも、別れてからは、友達に戻れたよ。それからもずっと、普通に友達」
 …訊いてないことをベラベラと…。立松、俺、ぜんぜんそんな話、聞きたくなかったよ。「ふうん、そうなんだ」としか返せなくて、そしたら立松は、「うん、そうなんだよ」って答えた。すごい胸の中がむかむかして、俺ってなんて心が狭いんだろうって思ったけど、でも立松も悪いって思った。だって、こんなこと、別に言わなくていい。昔の彼女のことなんて知りたくない。いや、そりゃ立松の過去の恋愛って、ちょっとは気になるけど、ちょっとっていうかかなり気になることもあるけど、でも、言わなくていいのに。しかも今でも昔の彼女(今は人妻)と手紙のやりとりとか、きっとメールのやりとりとか電話も、してるんだ。下手したら、たまに会ったりしてるのかもしれない。昔の彼女(今は人妻)が実家に戻ってきたりしたときに、「久しぶりに会おう」とか言って。それで、
人妻「立松君、ちょっとおとなっぽくなったねー」
立松「そっちは高校んときと全然変わんないよ」
人妻「もー立松君ったらお世辞ばっかり」
立松「お世辞じゃないって。まじでまじで」
人妻「なんか、二人でこうしてると、高校のときに戻ったみたい。あの頃はよかったわ…」
立松「今だって幸せそうじゃん。旦那さんとラブラブなんでしょ?」
人妻「そうでもないわ。旦那は仕事仕事で、私のことなんてほったらかしよ…」
立松「君みたいな可愛いお嫁さんをほっとくなんて、なんて酷い男でしょう!」
人妻「そんなふうに言ってくれるのって、憲男だけよ。あーあ、憲男と別れなきゃよかった…。そしたら私、今ごろ、もっと幸せだったかもしれないのに…。なーんてね…」
 ……
 こ、こわい…。こんな想像をする自分が怖い…。俺が一人で色々考えてるうちに、立松はバイトに行く準備を済ませてて、「そいじゃあもう時間だから行ってくるね!」と言って、俺の頬にチュッと音を立てて口付けてから颯爽と部屋を出てった。
「何それ…」
 頬を押さえ、呆然として立ち尽くした。
 その夜はなかなか眠れなくて、電気も点けず、テーブルに突っ伏して、ぼんやりと立松を待った。冷蔵庫に豆乳プリンが入ってたら勝手に食ってやろうと思っていたのに、入ってなくて残念だった。いつもより少し遅めに帰ってきた立松は、俺を見て驚いていた。
「どうしたの進藤ちゃん! こんな暗い中で…!」
 と言いながら立松は蛍光灯を点けるが、俺は「お前を待ってたんだよ」と言って立ち上がって、すぐに電気を消してから椅子に座った。立松は、小さくため息を吐きながら静かにテーブルにつく。ああ、俺、立松を困らせてるのかな。そう思うと、苦しくて、でもどこか嬉しくて、心がぐるぐる回る。今立松の側に居るのは俺だよ。と、北海道の女に念を送りたい。やっぱり心が狭い。嫉妬してる、そんな自分が嫌で、嫉妬させる立松が憎らしかった。
「進藤ちゃんの初恋っていつ?」
 闇に溶け込むような静かな声で、向かい側に座っている立松が突然の質問を。立松は、俺の声をすごく誉めるけど、俺は立松の声が好き。バカみたいに明るい声になったり、真面目で低い声になったり、くるくる変わる。声と心の中が一致してないこともあって、最初はそのことに気付かなかったけど、今なら分かる。それが作られた声色なのか、素の声なのか。分かる。ちゃんと分かってるんだよ、立松。昔付き合ってて今は人妻な北海道の女には分かるの? 立松のことが。分かるんだろうか。でも俺は、転校してくる前の立松を全然知らない。
「初恋…? わかんない。忘れた」
「そんな…身も蓋もない。そこで話終わっちゃうでしょ。もっと先に続く答え方をしようよぉ」
「だって…。でも、あんまり昔のことはあれだけど、ちゃんと好きだなって思ったのは、花村さんが初めてなのかも…」
「遅い初恋だねー」
「でも今思えば、好きっていうより憧れって感じで、恋なのかどうかは…」
「なるほど」
「…立松は?」
「俺はね、初恋はベタに幼稚園の先生なんだけどね、まあそれはそれとして。ちゃんと付き合ったのは、例の手紙の差出人の女の子。高校一年生の春、廊下ですれ違った瞬間、俺は、『この子だ』って直感したの」
「ふうん…」
「色々あったけど、今ではいい友達だよー」
「じゃあその子は、立松の『初めての女』だ」
「えっ…その言い方はちょっと…、いやまあ、うん」
「別に変な意味じゃなくて」
「えっ…、変な意味って…、…いや、うん、まあ…」
「俺はさ、大体のことは、大体っていうかほとんどっていうか全体的に、立松が初めてっていうか、立松しか知らないから」
「う…、うん」
「だから、今の立松の気持ちとかは分かんないけど」
「…うん」
「もし、もしもの話だよ?」
「なんでしょう」
「もしも、俺と立松が別れたとして、
ギャーーー!
「うわっ、いきなり大声出すなよ。隣りに聞こえる!」
「だだだだってそんな『別れる』とか言うんだもん! やだ! そんなの!」
「だから『もしも』の話だってば」
「そんな『もしも』やだ〜〜><!」
「もう! 話が進まないからちょっと黙って聞いてろ!」
「…はい…」
「俺は、もし、また、立松と別れても、いい友達には戻れないと思う」
「……」
「またヨリを戻すことはあっても、『いい友達』にはなれないよ」
「…つーか…、そもそも、もう別れないしね…」
「うん、だから、『もしも』の話だって」
「うん、だから、たとえ『もしも』だとしても、そんな『もしも』は嫌なんだってば」
「…今でもちょっとくらいは好き?」
「何が」
「だから、北海道の…」
「そんなわけないじゃない! 友達だよ! タテノリは怖いくらいに進藤ちゃん一筋! 愛に生きています!」
「へえ…」
「うわっ、反応うすっ」
「……」
「進藤ちゃんが嫌ならやめるよ」
「え」
「もう、あの子とは連絡とか一切とらない」
 うん、じゃあ、そうして。
 とか言えるわけないし。そんなこと望んでない。…でも、ほんとに望んでないって言える? わかんない。望んでない。でも、全然望んでないことはないかもしれない。分からないよ。進藤ちゃんが嫌ならやめるよ、なんて。立松、お前は、ひどいよ。なんて酷いんだろう。
 その夜は、手を繋いで一緒のベッドで寝た。立松が、「ごめんね」って囁いて、俺は少し、泣いてしまいそうになった。なんで謝るんだよ。謝ってほしくなんかない。立松、俺は、申し訳なく思ってほしいわけじゃない。そんなの、ほんとはお前、分かってるんだろ? 狭い心がぎしぎし痛んで、そんな自分が、なんか、ヤで。こわかった。「許さない」って答えたら、立松は、「うん、一生許さないで」と返して、俺の手が潰れてしまうほどに握り締めた。まだ寒い、春の夜でした。

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春がきても、ぼくたちは。
あいもかわず。
あざ笑ってよ。
来年の春もきっとこんなかんじ。




 

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